コンビニ受診に対する考え方

当社では月に1回、勉強会を行っている。勉強会の話の流れで、コンビニ受診の話題が出た。谷田先生が病院事務員をつとめていたころ、深夜に血相を変えた母親が飛び込んできた。幼子を連れてきている。「どうされました?」たずねてみると、小指に小さな切り傷があったという。医師ともども唖然。「治療費は1万円です。」冗談交じりに費用の請求をした。

あれから25年。安易な受診は減らず、むしろ増えているように感じる。私の弟も、小さい頃救急車に乗ったことがある。なぜか?鼻血だった。しかし鼻血と言っても、ただの鼻血ではない。ティッシュを何枚使っても止まらない。焦った母が、119番をした。この話をしたら谷田先生に一喝された。「バケツ一杯血が出て、やっと救急だ。ちょっとやそっとの出血で人は死なない。鼻血程度なら歩いて病院に行くべし。骨折も同様。」

安易に見える119番の背景にあるのは、経験不足によるパニックではなかろうか。生きている以上、怪我はつきものである。しかし、安全安心を求める風潮の中で怪我は忌避されてきた。あぶないから公園で遊ばせない。包丁を持たせない。それで、いざ血を見たときに、焦り、混乱。25年前の母の気持ちも、私の母の気持ちも、よくわかる。小さい頃「悪い人が来たら110番、怪我と火事は119番」と教わった。私だって、何かあったらとりあえず119番するだろう。

本当に救急医療が必要な人間に救急医療が行き渡らなくなるコンビニ受診は、間違えなく問題である。家族が、友が、道行く人が突然倒れた。泡を吹いている。意識がない。119番をした。救急医療が万全ならば助かるかもしれない。しかし、もし救急車がつかまらなかったら。「生きるための教養が失われてきている。コンビニ受診の問題を解決するには、病院を利用する患者への教育が必要だ。」谷田先生は話している。

(協力研究員 管 偉辰)